「秋田県」と聞くと、伝統行事や農作物といったものを連想する方が多いかもしれません。しかし近年は大規模な新産業プロジェクトが行われており「風力発電導入量」が全国トップを誇っています。
そこで今回は、なぜ秋田県に風力発電が多いのかを徹底的にご紹介します。
秋田に風力が多い理由その1「日本海側特有の風」
日本海側沿岸部は風が強く降雪が少ないという特徴があり、秋田はまさにそれに該当します。
全国的にも海岸沿いや日本海側に風力発電が作られているケースがほとんどで、風土が風力発電の設置に、どれだけ重要かがよくわかります。
ちなみに内陸部は風が弱まるものの降雪量は増えます。広い面積があっても風力発電の設置に最適な場所はごく一部なのです。
秋田に風力が多い理由その2「FIT制度の開始」
中小企業でも導入しやすい太陽光発電と違い、巨大な風車を建設しなければならない風力発電はとにかく資金が必要。その敷居の高さから、日本でなかなか浸透していませんでした。
しかし2012年から国による再生可能エネルギーのFIT制度(固定価格買い取り制度)が開始されました。これには設備導入時に一定期間の助成水準が法的に保証されるなどといったメリットがあり、世界的にみても再生可能エネルギーの普及促進効果が高い制度といわれています。
つまり売電による将来的雇用の安定が見込めることになり、導入に前向きな企業や銀行などが増え、資金調達が可能となったのです。
秋田に風力が多い理由その3「資源を利用した地域再生」
近年の秋田県の人口は100万人を割りこみ、全国的にみて人口減少が最も進んでいるエリアです。
この危機的状況を脱するべく地元企業や銀行が協力し、地域再生をかけて始まったのが「秋田県新エネルギー産業戦略」です。
このプロジェクトは「今ある資源を使って雇用拡大につなげる」のが狙いであり、今まで厄介なものとして扱われてきた「強い風」を利用できるのがメリットです。
もともと秋田には風力発電は導入されていたものの、ほとんどが県外資本でした。
これを県内資本とし、利益を県内に還元できるようにすることで秋田の中心的産業にすることが狙いです。
風力発電はFIT制度の対象となる再生可能エネルギーであるため、風土と地域が抱える問題、国による制度、これらすべての条件がそろったことで大規模なプロジェクトが始動できることとなったのです。
秋田に風力が多い理由その4「洋上風力の建設」
洋上風力とは海洋上に設置された風車で発電するもので、海の上は風を遮るものがないことから陸上に設置するよりも効率的であるといわれています。
洋上風力はヨーロッパでの普及が目覚ましいものの日本は台風が多いために、今まで国による試験運転のみ行われていました。
しかしFITの開始や、台風にも耐えられる大型風車ができたこともあり、日本の洋上風力の可能性が一気に見えてきたのです。
秋田県で本格運用を見据えた洋上風力がまさに今、全国に先駆け建設中です。
秋田に風力が多い理由その5「日本初の民間洋上風力」
現在建設中の洋上風力は、民間では日本初となります。
秋田洋上風力発電株式会社
https://aow.co.jp/jp/
秋田県の場合は地元企業が資本となることで、大規模なプロジェクトとして活動を支えて先の雇用拡大と安定につなげるしくみとなっており、民間ならではの機動力で順調に建設が進んでいます。
ちなみに完工後20年間は、全量を東北電力株式会社に売電することが決まっています。商業運転開始は2022年12月予定です。
これにより、今後の全国的な洋上風力導入の期待が高まります。
われわれのような小さなドローン会社も、近年インフラ設備の保守・点検作業が増えつつあります。秋田県は仙台から近いこともあり、今後も関わる機会が多いことでしょう。
水上風力であれば水中ドローン(ROV)の活躍も期待されます。これにより水中ドローンの性能や需要が一気に向上する可能性もあります。
いつでもドローンを使った風力発電の保守・点検等の作業ができるように、われわれも日々精進してまいります。